2016年3月7日月曜日

【アフターフォロー】 「日銀政策決定会合 その2/7」 - マイナス金利で銀行株が下がる理由

レポートまとめ

今回のお話では、1/29のマイナス金利の影響を真っ先に受ける銀行業の今後について検証しています。

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マイナス金利により、銀行の多くが債券の買い占めに走ることは、日銀も当初から想定していました。今まで日銀に預けていた余剰分の預金に対して今までは利息を貰っていたのに、今回から利息を払え、と言ってるんですからね。そりゃ資金を引き上げて他の資産に投資しなければなりません。

安全資産として債券に買いが集中した結果、長期債券の殆どがマイナス利回りになりました。

1日金融機関を対象に新たに発行される満期までの期間が10年の国債の入札が行われました。今回の国債は、額面は100円で表面利率は前回の年0.3%から年0.1%に下がりました。つまり、年間10銭の利息がつき満期までの10年間保有すると101円が支払われます。

上記は、10年債の新発債(新しく発行される債券、IPOみたいなもんですな)がマイナス利回りで取引されたというニュースです。

債券は、株と同じく市場を通じて自由に売買されています。1ロットの額が半端ないので多くの投資家には縁がないのですが野村證券など大きな証券会社ですと、小ロットで売買させてくれるようです。

  • 額面100円の10年債を年利0.1%で購入
  • 毎年0.1円 (=100*0.001)を債券を持っている人に支払う
  • 10年後、100円を返してもらう (償還)

額面100円の債券を100円で購入すると、10年後には101円(=100+0.1円*10年)となり、利益は1円になります。今回、額面100円の債券が101.25円で取引されることになりました。つまりこのまま持ち続けても10年後に戻ってくるのはトータルで101円なので、取引した段階で既に0.25円損することになります。

このことをマイナス利回りと言います。別に発行者に毎年利息を払うわけではありませんからね、念のため。

債券価格が上がると利回りが下がる仕組みはわかって頂けたでしょうか。

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二年目:あれ?国債の金利がマイナスになるなら今保有している債券価格は上昇しますよね?銀行は儲かるのではないですか?
Bコミ:一時的にはね。トレード収益はインカムとキャピタルで構成されていて、インカムは利金が貰えるけど価格が高いし、キャピタルは価格が高い国債を買うことになるから今よりキャピタルも出にくくなるだろうね。だから長い目で見るとマイナス金利は再運用に支障をきたすと思う。

現段階ですと、債券を持っている銀行はホクホクなのですが、今後の運用が難しくなることを懸念しています。債券も償還されれば後が無いですからね。

インカム収入は株で例えると、配当金でしょうか。配当金を得るために高値で株を買うとなるとドンドン利回りが下がり、パフォーマンスは更に下がります。何かの拍子で資産価格が下がることになれば大ダメージです。

キャピタル収入は、株で例えると売買益でしょうか。今、債券を四の五の言わず買ってくれるバカは日銀しかいません。日銀目当てに債券を買い付ける作戦も日銀の方針次第でどうなるか分かったものではないでしょう。

またローン金利の低下も地味に痛いでしょう。消費者からすれば利息が減るので借りやすくなる反面、貸し出す方からすると薄利多売(?)になり利益が減ります。そもそもローン顧客が倍増することも考えにくいでしょうし、鞘抜きの機会が失われるのは痛いでしょうね。

銀行業は厳しいと思います。

政府の出先機関と思われてるのも地味に痛い。変に値上げが出来ないですからね。

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三菱東京UFJ銀行の労働組合は27日、今春の労使交渉で従業員の基本給を底上げするベースアップ(ベア)を3年ぶりに要求しない執行部案を固めた。日銀のマイナス金利政策などの収益悪化懸念に配慮する。三井住友銀行とみずほフィナンシャルグループの労組も既に同様の方針を示しており、3メガ銀ともベア要求が見送りとなる。
-- 3メガ銀ベア見送りへ 三菱UFJ労組、3年ぶり要求せず  :日本経済新聞

労組も厳しい状況を踏まえてか、ベア要求はしない方針なんだとか。

ベアが上手く行ったとしても、銀行が多過ぎる状況は変わらないでしょうから、M&Aの速度が増して結果的にリストラに拍車がかかって楽しそうな未来が伺えそうな感じがします。

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